なんで落語が面白いのか ~全然飽きないコンテンツ~

 2018年に笑点の司会をやられていた桂歌丸師匠が亡くなった.その衝撃はとても大きいものだった.


それはゲームしかやってなかった自分の耳にもその報が入ってくるぐらいに

そこから笑点を見始め落語を聞くようになり寄席に行くようになり二人会に行くようになり毎晩誰かさんの噺を聞くようになり・・・どっぷりとハマっていった.

しかし落語鑑賞という趣味は言ってしまえば受け身のコンテンツ.自分は元来受け身コンテンツは1年持たずに飽きてしまう性分なのだが,どうしたもんか落語を聞き始めかれこれ4年が経とうとしている

なぜここまで長く続く趣味になったのか.

思うところを書きなぐってみようかと思う.

先に断っておくと他のコンテンツと比較しちゃうことが多くなるけどsageる気は一切ありません!ご容赦ください.
あとこれから「師匠」の敬称を略します.補完してください.



1,自分が成長する

話を聞いてるだけなのに成長するとはどういうこと?ってなる.
(本当はやっちゃいけないことだが、)落語を聞き始めたのはようつべの無断転載だ.桂歌丸の「竹の水仙」、三遊亭小遊三の「蛙茶番」「時そば」滅茶苦茶面白かったのを覚えてる.笑点メンバーの落語を中心に落語界の事を調べながら楽しんでいた.

江戸落語を中心に聞いていくと必ず知ることになるものがある.

江戸落語四天王だ.

5代目三遊亭圓楽,5代目立川談志,3代目古今亭志ん朝,8代目橘家圓蔵

そしてその流れで過去の諸名人を知ることにもなる.

5代目柳家小さん,6代目三遊亭圓生,5代目古今亭志ん生,8代目桂文楽

落語を知らん人にとっちゃさっぱりだろうがまぁ我慢してくれ.ここに挙げた方々,落語ファンにとって大名人の方々なのである.


そう,"落語ファン"にとっては


落語ファン見習いみたいな自分にはその良さがまっっっったくわからなかった.話し方はなんかゴモってるし綺麗にやってるんだろうがどちらかと言えば退屈,正直な感想がそれであった.

ただ一人を除いて.

5代目立川談志である.

談志の哲学が自分が普段から考えていることと合致したという部分もあるのだが,落語を聞く事が出来たのである.

乱暴な奴が本当に乱暴で,トチ狂ってる奴が本当にトチ狂ってて,ダメ人間が本当にダメ人間で.

可能な限り聞いた.談志の落語をひたすら聞いた.色々なエピソードを調べた.初心者におすすめは「饅頭こわい」と「蝦蟇の油」.
そうなると「金を払って聞く価値があるのは古今亭志ん朝」って話を聞く.

前に聞いて退屈だと思っていたが,もう一度聞いてみることにした.

そうしたら驚いた事に,あれだけ退屈だと思っていたのに全く退屈に感じなかったのである!流麗で人物が目の前に要るような気がして.
そうして先に挙げた噺家をもう一度巡ってみた.あれほど聞けなかった噺家の何人かが聞けるようになっているのである.

すなわち,落語というのは受け身のコンテンツでありながら昔聞けなかった噺家が聞けるようになるという,"自分の成長"要素を含んだコンテンツなのである.

自分は未だにわからない過去・現在の名人がいくつか居る.落語を聴き続け,そのわからない名人がいつわかるようになるのか.



非常に楽しみである.




2,落語家は"アイドル"


ミーハー嫌いの性格の人や逆張り人間にダッシュ昇龍喰らいそうなタイトルだが,本質にはJ-popアイドル的要素が含まれてると思う.

少し話は逸れるがK-popアイドルとJ-popアイドル,世界的に売れているのは圧倒的にK-popアイドルであるという話をご存知だろうか(俺は両方興味ない).
K-popアイドルというものはある程度完成させた状態で世に放つ.その為,曲やダンスの出来そのものが評価されるので世界的な売り上げを狙いやすい.対してJ-popアイドルというものは未完成な状態でも世に放ってしまう.そしてその成長過程を現代の日本の価値観にあわせて売り物にする.というものらしい.海を越えて人気が出るのもある程度成長してからのようだ.
これが真ならば日本特有の文化である.
思い当たる節と言えば,日本で人気で世界ではそれほど人気のないスポーツといえば野球だ.野球は他のスポーツと比べ選手生命が長く,成長を見て楽しむ事も出来るスポーツである.
自分はeSportsに分類されているもので日本で生き残りやすいのは格闘ゲームであると思っているが,それはこの考えを元にしている.

話を戻す.落語は選手生命が長いなんてもんじゃない.最も脂が乗る時期が60~70歳というオジ激強業界だ.現在現役最高齢桂米丸は96歳で寄席に今でも上がっている(そんでもって面白いのだから恐ろしい).先ほど話した「成長を共に楽しむ」というドキュメントの楽しみ方をするにはもってこいのコンテンツである.若い人を追いかけようものなら噺家より前に自分が先に死ぬなんて事もありそうなぐらい成長を楽しめる
書いてて思ったけどあれだ.つべなりニコ動なりプンレクなりツイッチなりツイキャスなりで配信者を追う感覚!あれが1番近いかもしれない.


落語には「成長を共に楽しむ」他のコンテンツにはない魅力がある.

それは「引き算の美学」だ.

引き算の面白さはレトロゲーム愛好家ならばスッと入ってくるだろうか.様々な要因から無駄が削ぎ落とされ,表現力全振りで想像力を刺激してくるのが引き算の魅力である.
噺家はある程度歳をとると噺の中の小ネタ(くすぐり)を入れずに原液そのものを長年培った表現力でぶつけてくる.30年40年培った表現力だ.威力が違う.この瞬間に立ち会えた時は落語ファンの至極の一時と言って良いだろう.このように楽しむ事の出来るコンテンツはなかなかない.

落語の特徴である古典落語は100~200年昔に作られた話である.漫才やコントのお笑い芸人と違って皆が昔の人が作ったネタをやるわけである.それ故に他の落語家との比較や同じ演目でもその変化を楽しむ事が出来るのである.

すなわち,落語家を追うというのは成長を共に楽しむ"アイドル"の楽しみ方と同じであるのである

バリくそ長いけど


3,落語は伝統芸能の皮を被った「現代芸能」


落語を初めて聞いた時に思った感想「全然伝統芸能っぽくねぇなこれwww」だ.

落語の話は「その時代にいるバカアホマヌケダメ人間」を元にした話なのである.よく「昔から人間のダメさは変わってない」と言われるが,落語の話はそれを如実に表している
自分の好きな演目に「二番煎じ」がある.出てくる人間が本質的には高校の授業中に漫画読んでる飯喰ってるゲームやってるケータイいじってるような奴ばっかりなのである.マジで変わってない.俺はポケモン厳選してた.
もちろん現代には通じない言葉・価値観がある.玉子高ぇから代わりにたくあんにしようみたいな一節も今だったらたくあんの方が高い.
そういうのを承知で楽しまないといけないのかというと,そうでもないのである.なぜなら噺家さんたちが現代風にアレンジしてくれるのである.現代アレンジの具合もまた人によって違う.言葉遣いを現代風にしてしまうものから世界観からまるっきりナウくしてしまうものもある.
落語の演目の中にはそもそもSF,ファンタジーなものも多い.ハチこと米津玄師さんが曲として出した「死神」はまさにその代表例と言っても良いだろう.現代アレンジするまでもない
一人でやる芸だからこそなのか、伝統芸能のクセして新作が多い.ためしてガッテン!の司会(もうすぐだったになる)立川志の輔の「みどりの窓口」はもろ現代の話だが落語なのである(ってみどりの窓口めっちゃ減ってるじゃん).

古典落語の中には現代芸能でななく「未来芸能」じゃねぇか?と思うような事がある.自分はアイマス,特にニコマス勢なので案外しっくりくるのだが「何喰ってたらそんな発想出来るの?」「熱出した時の夢みたいな動画」をよくみる.落語にはそれが結構あったりする.自分が一番好きな演目「粗忽長屋」は分かりやすいがどこかぶっ飛んでる話である.
「あたま山」なんかまーじで意味不明である.自分の頭の上に池が出来てそこに屋形船が浮かんでそこで色んな人がどんちゃん騒ぎ・・・物理的に考えて「え?」って話である.
例としてほかに挙げるならば,最近話題になったものでいえば,モスバーガーのトムブラウンのCMである.零さん制作に参加してる説は笑ったし,製作者は音MADやったことないけどあのクオリティは流石本職だし,カビキラー合作について言及してて笑った.

最近は色んな落語家がつべなりで個人で動画配信をする時代になっている.その時点で伝統芸能とは思えない,柔軟な業界である事がわかるが、その中で異彩を放っている(が故に再生数伸びてない)落語家のチャンネルがある.アバンギャルド昇々チャンネルである(アバンギャルド昇々チャンネル ).「落語家である必要がねぇwww」ってなる事になる動画満載である.わけわからん動画も多い.

伝統芸能の看板を借りて,時代に迎合するどころか先に行ってるような人も多いのが落語家の魅力であり落語の魅力である.

【まとめ】


書きたいこと長ったらしく書いてきた.
言いたいことは伝統芸能だからといって固いもんじゃない.全然古くさくない.趣味にはもってこいのコンテンツだぞ.なぜか周りの受けも良いし.って事だ.



落語ってすごいのよ!




【最後に】


こんだけ落語の魅力を語ったんでオヌヌメの現役落語家書いていくわ.


三遊亭遊雀

大胆な間の取り方と表現力で古典落語を面白く演る師匠.笑点の水色の着物の小遊三の弟子.新宿末廣亭で聞いた「堪忍袋」の前半部分だけでとんでもない満足感をもたらしたあの日は忘れられない.子供の表現力もすごい.


三遊亭小遊三

芸術的な軽さで大爆笑をかっさらっていく.笑点の水色の着物の人.新宿末廣亭で「蜘蛛駕籠」を聞いた時、笑い死ぬんじゃないかと思った.


柳亭小痴楽

落語の世界の人間がまんま具現化したような人.だから落語のフィット感がヤバい.若い.24時間遅刻の話好き.


三遊亭兼好

色々な話を明るく演る.演る噺の笑いに楽しさが生まれる.笑点のピンクの着物の好楽の弟子.


昔昔亭桃太郎
飄々とした笑いが面白い.独特なオーラで何故か笑いが止まらなくなる.笑点の司会の昇太とは兄弟弟子.

もっともっと色んな師匠が居る.落語知ってる人なら「なんで◯◯師匠が居ねぇんだ!」「芸協ばっかじゃねぇか!」とか言われるだろう.ごめん.まだ生で聞いたこと無いんだわ.今の自分の落語歴でオススメ出来る人はこんなところか.三遊亭萬橘とか立川龍志とか桃月庵白酒とか三遊亭笑遊とか聞いてみたい.





















【余談】

格ゲーマーにしか伝わらない話.
ゲーセンゲーマーのヤバいエピソード,とんでもエピソード,ダメ人間エピソードあるじゃん.
あれ,まんま落語みたいな小噺なんだよね.
誰か格ゲーマーエピソードを落語でやってくんねぇかなぁ.
っていうかゲームセンターで落語やってくんねぇかなぁ.かなり籠った空間だからぴったりだと思うんだけどなぁ.
稼ぎ時の時間がかぶってるのがなぁ.

参考文献

https://www.geikyo.com/profile/
https://columbia.jp/artist-info/kenkou/prof.html

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